あの日あの時あの人はVol.10 (2017年)

24期 石川えりこ 様

『高校は通過点』

高校は通過点だとよく言われる。
入学した日から卒業まで残る日を数え続けた。
教室から見る空の様子。
下に見える四角の白ガエルが住んでいると聞いた池。
自転車置き場の白い波打った屋根。
それらをじっと眺めるのが好きだった。
美術教室の奥にある小さな部屋で食パンをかかえ授業を忘れて
デッサンをしていた絵の具の混じった独特な匂い。
高校の中の世界はそれだけで充分だった。
帰り道は毎日違う道を歩いて帰った。
黒い泥の川沿いの土手を歩いて帰ったり
下鴨生駅まで遠回りしてため池を見ながら帰ったり ありとあらゆる道を毎日違えて帰宅していた。
帰宅後はほとんど毎日 飯塚の先の坂の下というところまで、バスで行き 後藤耕平先生のクロッキー教室へ通っていた。
そこでは私以外は大人ばかり。美術の先生や絵描きや絵を志す人ばかりだった。ただただクロッキーや油絵を描いて過ごす。
そうやって一日を通り過ぎ 卒業まで後何日なのかと毎日数え続ける。
今考えたらおかしな高校生だった。
きっとその三年間は 毎日自分の居場所を探していたのだと思う。そして その通過点があったからこそ
今、絵を描き続ける事が出来ている。

作品の紹介

「ボタ山であそんだころ」福音館書店刊

「流木のいえ」小学館刊